2011年3月8日火曜日

庵野秀明のフタリシバイ ~孤掌鳴難~

庵野秀明/徳間書店

それにしても、自己内省的な人である。庵野監督。「監督不行届」(安野モヨコ)だと、すごくのうてんきでおもしろいひとっぽいのに。

「エヴァンゲリオンの監督」という肩書きがすごく大きくなって、自分自身と乖離していくさまを、冷静に把握しているようだけど、それって客観的でないとできないことだ。その肥大した肩書に振りまわされず、さらに新しいなにかをしようとしている、すごい人だ。でも庵野さん本人の語り口は、オタクっぽくて、コンプレックスのようなものも覗く、ふつうの人の話し方で、つまり、すごいことをする人でも、ふつうの人と同じなのだとおもった。要するに、たくさんの人に名前を知られるかどうかのちがいではないか?

もっとも、読みながら途中で、「すごい人とはやっぱり、経験が違うのだな」と納得したことがあるのだけど、どこでおもったのか忘れた。
あと、アニメーションの黎明期をしっている人たちの対談だけに、「なにそれ!楽しそう!まじうらやましい!」と身もだえすることが何回かあったり(この現象は、ほぼ日の「樹の上の秘密基地」を読んだときにもおこる)、「舞台みてぇ~…でもゴキブリコンビナートはたぶん無理…自分ちいせぇ~…」ってなったり、たいへん心がいそがしくなる本だった。

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